クルーズ(2138)の深い闇 -Welqと同様の医療キュレーションサイト閉鎖後の極まる隠蔽体質ー

 

現在、DeNAによるキュレーション事業が世間の非難を浴び、とりわけ、同社運営「メディア」の一つ、「Welq」がその非難対象の中心となっているのは周知の通りである。

「Welq」は医療情報を中心に記事を取り扱っており、それゆえにセンシティブな検閲が本来必要であったにもかかわらず、専門家によるレビューがほとんどなされていなかったこと、そして、サイト内の記事は、ほとんど素人のライターがアルバイト的賃金にて、他媒体から数を競うように剽窃によって作られたものであったことなどが問題の焦点となっている。

11月中下旬より本件は社会問題に発展し、運営元親会社のDeNAは社外への情報開示を開始し、12月7日、同社経営陣による会見が行われた。

 

キュレーションプラットフォーム事業に関するお知らせ
~第三者調査委員会の設置および当社キュレーションプラットフォームサービス全記事非公開化に関するお知らせ~

http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1424259&code=2432&ln=ja&disp=s

http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1424259&code=2432&ln=ja&disp=simple

 

同社会見においては、「第三者調査委員会による事実関係の調査」、「被害者窓口の設置」等を開始し、当該問題に対する本格的な対処が経営陣より宣言された。

 WELQなどDeNAが記者会見全10サイトを非公開 (引用:THE PAGE 動画)

www.youtube.com

 

一方、Welqと同様に自称「医療メディア」を運営していながら、今般問題の渦中に当該「メディア」を全削除の末、一切の情報開示、経緯説明を行わず、沈黙を貫いている上場企業が存在する。

 

クルーズ(2138)である

 

クルーズとDeNAはキュレーション事業に進出した経緯が非常に良く似ている。

DeNAが2014年10月1日にぺロリ社(MERYの運営会社)及びiemo社を合計50億円で買収の後、同事業に進出を本格化した一方、クルーズは2016年10月13日にCandle社を12億5,000万円での買収を発表、同事業に進出した。

 

 キュレーションプラットフォーム事業開始に関するお知らせ(DeNA)

http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1182588&code=2432&ln=ja&disp=simple

 

 SHOPLISTに経営資源を集中、M&Aを積極化 ファッションキュレーションメディアを取得(クルーズ)

crooz.co.jp

 

 

 

クルーズが買収したCandle社は、買収当時にはインキュレーションメディアとして「MARBLE」、「Healthil(ヘルシル)」、「JOYTRIP」、「carcast」、「Taspy」を運営していた。ところが、12月に入った頃より、何の対外説明もなく、上記「メディア」のうち、「Healthil(ヘルシル)」、「JOYTRIP」が突然閉鎖されたのである。

 

 

http://healthil.jp/

http://joy-trip.jp/

 

 

特に、「Healthil(ヘルシル)」 Welqと同様、「医療メディア」を自称していた。いわく、「Healthilは皆さまの健康を保つための情報が集まる、健康医療情報まとめメディアです。身体や心の悩み、育児や介護の悩み、男性・女性特有の悩み、薬や医療ニュース等、様々な情報をお届けします。」とのことであった。

 

また、Candle社については以下の声がネット上であがっている。

 

twitter.com

twitter.com

 

 

また、これは推定になるが、創業間もないベンチャーへの12.5億円の買収金額の大部分はのれんと思われ、当初の事業計画を下回る見込みとなった場合にはのれんの帳簿価額を減額しなくてはならず、すなわち、減損による特別損失の計上(億円単位の可能性)のリスクが存在する。

DeNAが順次、本件に関するIR資料を開示し、経営トップによる謝罪会見を開き、第三者委員会の設置と全容解明、著作権問題の対応、被害者窓口の開設と対応している一方、一切の情報開示を行っていないクルーズは、上場企業としてあるまじき隠蔽体質企業であると言わざるを得ないのではないだろうか。